東京都で障害者グループホーム開設を考える方へ|知っておきたい3つの重要ポイント

投稿:2025年9月27日更新:2025年9月29日コラム , 障害者福祉

東京都内で障害者グループホームの開設をお考えですか。障害のある方が地域で自分らしく暮らすための重要な拠点となるグループホームは、社会的に非常に意義深い事業です。しかし、その運営は年々専門性が高まり、関連する制度も複雑になっています。特に令和6年度には大きな報酬改定があり、事業計画に大きな影響を与えます。この記事では、これから事業を始める方が最低限押さえておくべき「類型」「運営基準」「報酬」という3つの重要ポイントを、最新の情報に基づいて分かりやすく解説します。

ポイント1:事業の方向性を決める「グループホームの類型」

グループホームの開設にあたり、最初にどの「類型」で事業を行うかを選択する必要があります。利用者の障害特性やニーズ、そして提供したい支援の内容によって、最適な類型は異なります。主に以下の3つの類型があり、それぞれで人員配置や報酬の基準が変わってきます。

この他に、一人暮らしに近い形態の「サテライト型住居」や、東京都独自の制度で、原則3年以内の単身生活への移行を目指す「通過型グループホーム」といった選択肢もあります。どの類型がご自身の事業構想に合致するか、慎重に検討することが第一歩となります。

ポイント2:信頼の礎となる「人員配置と運営基準」

安定した事業運営と質の高いサービス提供のためには、国が定める基準を遵守することが不可欠です。特に、職員の配置と、近年厳格化されている運営基準への対応は極めて重要です。

職員の役割と配置

グループホームでは、管理者、サービス管理責任者、世話人、生活支援員といった職種の配置が定められています。中でも「サービス管理責任者」は、利用者の個別支援計画を作成し、支援全体の質を管理する重要な役割を担います。定められた実務経験と研修修了が必要な専門職です。適切な人員を確保し、それぞれの役割を明確にすることが、質の高い支援につながります。

近年、特に重要度を増す運営基準

法令遵守の観点から、近年、事業所に体制整備が義務付けられた項目が増えています。特に以下の点は、これから開設する上で万全の準備が求められます。

これらの基準を満たしていない場合、報酬の減算対象となる可能性があるため、開設時からしっかりと体制を構築しておく必要があります。

ポイント3:事業の安定性を左右する「令和6年度報酬改定」

事業の収益に直結するのが、国が定める障害福祉サービス等報酬です。令和6年度に大きな改定があり、事業者はこの変更への的確な対応が求められます。ここでは特に影響の大きい点を解説します。

処遇改善加算の一本化

これまで3つに分かれていた福祉・介護職員の処遇改善に関する加算が、「福祉・介護職員等処遇改善加算」として一本化されました。加算率も引き上げられ、職員の賃金改善に活用しやすくなりましたが、計画書や報告書の様式も変更されるため、注意が必要です。人材確保の観点からも、この加算を適切に算定・活用することが重要です。

新設・拡充された加算

今回の改定では、より手厚い人員配置や専門的な支援を評価する加算が新設・拡充されました。

注意すべき減算措置

適切な運営が行われていない事業所に対しては、報酬が減額される「減算」措置が強化されました。先述した「虐待防止措置未実施減算」「業務継続計画未策定減算」などが新たに設けられ、法令遵守の徹底がより一層求められるようになっています。ちなみに、杉並区を含む東京都の特別区は、報酬単価が最も高い「1級地」に区分されており、減算による影響も大きくなる可能性があります。

まとめ

東京都で障害者グループホームを開設・運営していくためには、事業の目的に合った「類型」を選択し、厳格化される「運営基準」を遵守する体制を整え、そして「報酬改定」の内容を正確に理解して事業計画に反映させることが不可欠です。特に令和6年度の報酬改定は、人員配置や支援内容が報酬に直結する仕組みが強化されており、戦略的な事業運営が求められます。

制度は複雑で、準備すべき書類も多岐にわたります。もし開設手続きや運営に関するご不安やお悩みがあれば、一人で抱え込まず、専門家にご相談いただくことも一つの方法です。当事務所は、障害福祉事業を専門として、皆様の想いを形にするお手伝いをしています。どうぞお気軽にお声がけください。

東京都杉並区の阿佐ヶ谷で活動している行政書士です。
障害のある子への「親あるあいだ」の準備や相続に関するご相談、その他身近な法律や手続についてお気軽にご相談ください。

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